統一教会レポート■5 

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統一教会レポート■5

H子ちゃんと僕を含めた6人を乗せて、RV系ワゴンは走り出した、埼玉県某市にあるセミナーハウスと呼ばれる合宿施設を目指して。

メンバーは、H子ちゃん・Wさん・僕・運転手Sさん・男性スタッフ・新人女性…といった顔ぶれで、H子ちゃんがその新人女性を「今回の2daysにここから初参加するのは、きみと○○さん(同年代女)よ」と僕に紹介した。

 

「ここから」?…と言うことは「ここ以外から」と言うのもあると解釈して良さそうだ。

…てことは少なからず、僕の想像以上に大規模な学生の組織と考えても良いのかも知れない。

そして一同に多くの若人が集まって、ポエム口調で、それこそ何のために生きてるのか?とか、自分の存在意義、不甲斐ない自分の生き様とかを、ガン首並べて辛気くさく話し合う会合でもするのだろうか…!?

その有り様を空想すると、あまりにもバカバカしい光景だ。

中には話しながら、感極まって号泣するキモエモい奴とかが出てきたりするのだろうか?

超ダッセー集まりだな…

まぁしかし他人、それも大した努力もしていないのに、あたかも悟りを拓いたかのような極論を言う(結局自分もそうだったが)バカを見下す気分は悪くはない。行きたくない事には変わらないが、ダッセー奴に対し、サド的笑いをそこに見いだせそうな予感もしたきた。

しかも感極まって大号泣しでかすような面白エモ馬鹿とかいたら、牛乳吹き出すくらい笑っちゃうかも知れねぇじゃんwwwと、僕はひたすら性格の悪い空想をした。

尤も、そうでなければ楽しみもない…

まず下らない集まりである事は前提として、陰鬱なだけのこの旅行だが、10%程度は楽しまなきゃと思うと、ほんのわずかだが気持ちは軽くもなった。

やがて問題のセミナーハウスに到着する。

そこは埼玉県でも東京寄りの部類、住宅はまばらではあるが、市街地の一角である。

僕は勝手にバーベキューやらキャンプファイヤーやらを想像していたが、そんなことをしたら使用許可が下りなくなる立地であろう。

しかしここに至るまで、踏切とも高架線路とも、クロスした道がかるく10km超はない。隣家も結構先だ。

後々考えるとこの立地も、逃亡対策だったのではないだろうか?と疑いたくもなった。もちろんその時点では気にも留めなかったが…

また佇まいは旅館と言うには、設備・規模・観光地としての立地条件から到底及ばないし、一般の家屋と言うにはだいぶ大きめ。だがいずれにしてもこの手の用途には打ってつけの建物である。

車を降りた僕達は運転していたSさん、ぽちゃ可愛い癒し系女性Wさんに導かれ、当施設内のメインの大部屋に入る。

そこは使用する団体によってはフォークダンス太極拳にでも用いられそうな規模の広い部屋で、総勢50人程度の同じくらいの年代の男女が集まった。

一見して僕を含めその環境に馴染んでいない者、また色々なところに面識のある古顔と思しき者が混在している。

するとここでの活動の長そうな一人の男が入って来た。

彼は一方の壁を背に立ち、通る声でこちらにしゃべりかけてきた。すぐに彼が組織を統轄する人物であろうことが判明し、バラバラだった我々全員が彼に向き直る。

無秩序だった室内が、彼の出現によって以降、そちら側の壁が【前】になった。

男は20代中盤以降の陽気そうな、当時の僕から見ればお兄さんであった。

以下男の説明によると、ここにいる初めてここに来る全員(僕を含めた30人程度)を、まず最初に車に同乗したグループを解体。そこから任意(運営側の独断)の班分けをし、各班にこの活動の長い班長を1名配属、以降その班単位で行動してもらうと言った内容であった。

班は男女別々に編成され、上手い具合に男3班女3班の各班4〜5人の6班に分かれた。

でもそれも当然だ。グループ分けは向こうが決めた組み合わせになっている。

なので偶然という事は色々な意味で考えられないし、もしかしたら統轄する上で好都合なグループ分けがあったとも思われた。(ただその後見ると、僕と似た様なヤツが同じグループにいたので考えすぎだったかも知れないが)

取りあえず僕の属すことになった班の構成員を見ると、陰気で小声でぼそぼそと、何言ってるのかもハッキリ聞き取れないような者2名に、ウザいおちゃらけ者の「オレ笑い取るのが得意♪」と思い込んでいるが、滑ってるのに気付かない者1名、加えて元の性格以前に帰りたくて仕方なさそうにだるそうな顔した者1名。(後に最後の1名は僕と似たような経緯でここに来たことが分かる)

そしてサラッと自己紹介することになった。

「×田×郎 20歳 ××大学…」実に暗そうなヤツである。

だが耳を疑うような言葉がボソボソと続いた!!

 

「聖書に関してはまだまだ勉強不足です…」

………… !!?

続く暗いヤツの口からも「聖書に対する理解を深め…」!!

そして笑いを取れていない事に気付いてない道化までも「聖書を読破して…♪」!!

この集まり一体何なんだ…!?

■6につづく